読み終わった本は沢山あるのに、全然感想書いてないわ。
たまり過ぎてるので、最近読んだ井上夢人二冊の感想を。
『メドゥサ、鏡をごらん』
このメドゥサは勿論神話に出て来る、髪の毛が蛇になっていて
見た者を石に変えてしまうというメドゥサです。
作家が自分をコンクリで固めて自殺しており、その隣には
「メドゥサを見た」というメモのみ。
娘とその婚約者はこの作家の遺作原稿を探す事になるが
その内段々と奇妙な事が起こり出し・・・というようなストーリー。
もう何を書いてもネタバレになりますので、書けないんですけど(笑)、
最初読み始めて凄い違和感を感じるんです。それで途中で
その違和感の正体がわかるんですけど、これは何度も文庫本を
読んでる人でないと最初の違和感に気付けないかも?
自分が確かだと思っている記憶が、人とずれていて、しかも
自分の記憶の方がどうやら間違っているらしいという証拠が出て来たら
どんなに怖いか・・・というのが分かりました。
自分が狂ってるんじゃないかって気付いちゃうのって怖いよね!
夜中なのに一気読みしたもん。結果を知るまで怖くてさぁ。
ラストで全然救われなかったんだけどね(爆)。
もう一冊、井上夢人。
『パワー・オフ』
コンピュータ・ウイルスによって高校生が手を怪我をする場面から始まる。
この作品が書かれたのが1999年頃なので、まだまだインターネット
なんか発達してなくて、電話回線で繋いで、パソコン通信の会議室なんかが
盛んだった頃の話なんだよね。
だから読み始めるまでは、今読んでもつまんないかも・・・と危惧してたけど
そんなの全然関係なくて、すっごく面白かった!
こっちもほぼ一気読み(バイト先だったから、お客さん来るととまる(笑))。
その最初のウイルス自体は大したこと無いんだけど、
それを作った人、仕掛けられた人、別の開発をしている人・・・と
三か所くらいが同時進行して行く訳です。勿論最後につながって行くんだけどね。
いわゆる、読者は真実とか原因とかを知っていて、三か所で起こっている
事態を全部把握してるから、解決策も何となくわかるんだけど、
ストーリーの中の登場人物達はなかなかそこに辿り着けずに
試行錯誤してる訳です。それがじれったくて(笑)、読者である私は
「早く!早くあの人と会って話をするんだ!」とかやきもきしながら読むわけです。
これがノンストップになってしまう原因なんだな。
こういうのが井上夢人は本当に上手だと思うのよ。
先へ先へグイグイ読ませてしまう文章力と構成力。ビックリするくらい凄い。
まだこの作者の未読の本もあると思うので、ブックオフで探して来たい所。
とりあえず手元にはもうないので、別の本を読み始めてます。
明日もバイトだから、読書が進みそうです(笑)。
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