忍者ブログ
赤目の日常&お人形ブログ since:2009.01.01
1  2  3  4  ->
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

久しぶりに読んだ本の感想を書いておく。

板倉俊之『蟻地獄』。

若者二人がとある裏カジノでイカサマをし
大金を得ようとするが、あっさりばれてしまい
一人がヤクザのボスにつかまってしまう。
残る一人に「助けたければ五日後までに
三百万作って持ってこい」と伝える。

いわゆる現代版「走れメロス」って訳です。

臓器を売れば金になる事、特に目玉は高い事を
吹き込まれ、彼は死体捜しに奔走する…と
ちょっと私の苦手なハードボイルド調で始まるのですが
途中からはもうジェットコースター状態で、
昨日結局、明け方3時半までかかって読了してしまった。
結構な厚さの本なんだけどな。

作者はお笑い芸人インパルスの板倉氏。
独特のセンスが元から好きだった芸人さん。
でも本を書いてるのは知らなかった。
これの前に一冊出してるみたいだけど、
それは未読です。

作家さんではないので、基本文章力がどうこうって
言えるものではないですが、それでもよどみなく
普通にサクサク読めて、充分な筆力だと思う。

細かい伏線を沢山はりめぐらしていて、
でも「いかにも伏線です」っぽいんですけど(笑)。
いくつかの伏線は先が読めちゃったりするけど、
それが本当に次々に現れて来るので、何度も
「なるほど!」と種明かしされながらグイグイ読んでしまう。

伏線…からすぐに回収、というパターンが多いので
大がかりな物と言うよりは、細かくとにかく数で勝負。
いわゆる大がかりな空中浮遊などのイリュージョンではなく
とても訓練されたテーブルマジックという感じ。
それでも中盤からの病院廃墟でのシーン辺りからは
もう息つかせぬ怒涛の展開で裏が表、表がまた裏…と
クルクル先の展開が変わっていって抜群に面白い!

ラストはちょっと無茶してるし、ご都合主義的に
終わるんだけど、でも「アリ」かな?って感じ。

騙したり騙されたり、舌先三寸で切り抜けて…と
主人公が勿論、板倉氏本人と重なる。
もう一人が堤下氏だと思うともっと面白いけど。
暴力的な描写も多々あるので苦手な人は無理だけど
久しぶりに私的には一気読みした
お気に入り作品になりました。
PR
相変わらず読んだけど感想書いてない本が沢山。
一応思い出しつつ少しずつ放出しないとね。

『プラスティック』 井上夢人

相変わらず井上夢人を読みました。凄く好きな作家!
という訳ではありませんが、外れ無しだと思っております。
そもそも、もしも人に本を一冊だけ薦めるなら…と聞かれた時、
私は多分、綾辻行人の『十角館の殺人』か、井上夢人の
『オルファクトグラム』かのどちらかにすると思うんだよね。

この作家の作品ってのは、とにかくあらすじを読んだ時に
「面白そうだ!」と思えるものが多い。
つまり、物語の設定が魅力的なんだと思うのね。
今回の『プラスティック』は、54個の文書ファイルが入った
フロッピがあり、それを順番に読んでいく…という設定。
その文書を書いてる人は、何人か居て入れ換わり立ち替わり
一人称の主人公が変わるけど、それらがどうつながって行くのかが
一番の読みどころだと思うのね。

この作者の場合、最初は割とまともで、途中から段々と
地面がぐらついて、不安感があおられて、何が本当なのか
分からなくなって行くような作品が多いんだけど、
今回のは逆で、最初でいきなりグラグラと不安たっぷりにさせられる。
最初は幸せな主婦が夫の出張中にワープロの練習として書いた
日記の文書ファイルから始まるのね。
夫を驚かせてやる!とか、図書館で本を借りよう!とか、
明るい口調で書かれているんだけど、途中からまるでまるで
もう一人自分が居るかのような状況になって行くのです。
初めて行った図書館では、前日に既に図書カードの登録がされてたり、
物の位置が変わってたり・・・。

そこからもう一気読みな訳ですよ(笑)。
途中で段々分かって来るんだけどね。それでもまだまだ
「ん?とするとコレがアレで…」とか何度か行ったり来たりしつつ
やっぱりどんどん読んじゃうのね。

あらすじでも、物語の最初の方でも、ファイルは「54個」と
書かれているから、ラストまであといくつ…と読み進むわけですが、
それでラストで「う~ん、成るほど」となるわけですよ(笑)。
や、面白かった。
やっぱり「外れ無し」だと思うなぁ。

本当は他にも沢山感想書きたいんだけど、
取りあえず昨晩読み終わった本の感想を書いておく。

『一応の推定』 広川純

この作者の本は初めて読みました。
生命保険の調査員が主人公。
そういう作品って結構多いですよね。
「黒い家」とかもそうだし。
でもそんな怖い話じゃなくて、どちらかといえば
人情物の部類に入るのかな?

駅で列車に轢かれた老人には病気の孫娘が居た。
しかも三か月前に傷害保険に加入したばかり。
自殺なのか、それとも事故なのか…。

それでタイトルの「一応の推定」につながるわけですけど、
自殺であるという物的証拠が見つからなかったとしても、
動機や現場の状況などから考えて、充分な理解が得られれば、
自殺という事で保険を払いださなくても良い…という考え方が
「一応の推定」という事になります。
調査すればするほど、どんどん自殺であるような状況が出て来て
最終的には「一応の推定」を使い自殺で結論が出るのですが…。

内容が目新しかったり、結末が意外だったりというのではないですが、
緻密に感情などが描写されていて、なかなか読ませてくれます。
さすが、選考委員の満票一致で松本清張賞を受賞しただけあります。

しかしこの作者、他に作品出してるんだろうか??

他に、保険調査員もので面白いの知ってる方がいましたら
ご一報ください。
二時間ドラマだと結構あるんですけどね~。
 

クリーニング店のバイトに行くと、とにかく暇なので
読書がとっても進むのです。
それ以外にも夜に寝る前などにも少しずつ読んでるので
読書感想が溜まって行くのであります。
少しずつ思い出しながら書く。

『君の望む死に方』石持浅海

この作者の本はどれも結構面白くて好きだ。
すっごい好き!ってのとは違うけど、どの作品も面白くて
安定したレベル。安心して手に取れる作家さん。
そして、毎回他の人とはちょっと違う着眼点に感心するのよね。

今回は『扉は閉ざされたまま』の微妙な続編って感じ。
勿論この一冊だけでも全然平気なのですけど、
前作を知ってるとニヤリと出来る仕掛けがあったりもする。

ストーリーは、余命宣告をされた会社社長が、残りの人生を
どうするか考えた時、ある人物に自分を殺させようと考えた所から
始まります。しかも、その人を罪に問わせないようにしたい。
本人にも殺されたいという自分の心理を悟らせずに殺させたい。
通常の推理小説というのは、まずは殺人があって、その犯人やら
手口やらを推測して行くんだけど、この作品は「殺害まで」を
描いているんですね。これが不思議な感じで面白い。

殺る方も殺る気満々。殺られる方も死ぬ気満々。
会社の保養所に研修という名目で何人かを集めて、そこで
殺してもらおうと考える。
だけどゲストの内の一人の女性によって、その計画は祖語を
見せ始める…。

自分を殺して貰う為に、重いもの、先のとがったものなどを
それとなく置いておくんだけど、いつの間にか片づけられてたりする。
殺す方も殺される方も、お互いそうとは気付かないまま、
ある人物の行動によって計画を破たんさせられて行くのです。

最後までほぼノンストップで読んだけど、ラストは…。
まぁ、良く考えたらそういうラストに行きつくわな、という感じ(笑)。
なかなか手に汗握るスリリングな展開で面白かったです。

最近読んだ本の感想がたまってるので、まとめて放出。

『K・Nの悲劇』 高野和明
この作者の本はこれが初めて。でも13階段は
レンタルで見た事があるので、だいたいの作風は分かったかな?
幸せな結婚をした女性が、予期せぬ妊娠から中絶を
決心した事により、精神が段々病んで行くというお話。
まるで違う人格に入れ換わってしまうように見えるのだけど、
それが果たして精神分裂による二重人格なのか、それとも
霊が憑依した事による心霊現象なのか…という。
ギリギリのラインな感じが怖くて興味深くて面白いんです。
どんどん先を読んでしまう。

先の13階段もそうですが、テーマも内容もすっごく重くて
ストーリー自体は本当に重苦しいんです。
だけど、それゆえに最後の一筋の光が凄く温かく感じられるという。
心の動きがリアルで人間臭くてとっても面白かったです。
他の作品も読んでみたいなぁ。

xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxx

『風が吹いたら桶屋がもうかる』 井上夢人

相変わらずの井上夢人です。コメティタッチの短編集なので
サクッと読めてしまいました。
ごく普通の主人公シュンペイ、推理小説オタクで論理的な推理を
ぶちまけるイッカク、超能力者のヨーノスケという3人組。
このイッカクとヨーノスケの二人が凄く面白い。
イッカクはいわゆるアームチェアディテクティブで推理という名の
机上の空論を延々と話す。だけど結果は毎回見当はずれで、
全く当たらない。これって、他の推理小説への皮肉だよね?
依頼人がヒントの全てを話してくれるなんて、実際には無くて、
結局、全く語られていないような日常の些細な事が解決に
必要なカギだったりするんだよ。

更に面白いのがヨーノスケで、超能力者なんだけど、
本のページをめくるのに何時間もかかったりするレベルなのね。
割り箸を手を触れずに割ったりして、本当に超能力ではあるんだけど、
何しろレベルが低いから割るまでにラーメンのびてたりする。
そういう超能力ってはたして必要なのかな?って事。
主人公曰く「ヨーノスケのは低能力。普通にやった方が早い」
っていう状況。これって面白いなぁと思った。
ある程度レベルが高くないと超能力っていえないんじゃないかと。
むしろ、ふとした匂いで何を食べたか気付いたり、前から来る人を
よけようとしたら同じ方向によけちゃったりする方が、よほど
超能力っぽいんだなぁと考えさせられちゃいました(笑)。

xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxx

『スイッチを押すとき』 山田悠介

この作者の本は『リアル鬼ごっこ』など数冊読んでますが、
毎回設定が本当に良く思いつくなぁと感心してしまう魅力的なものが多い。
今回のもランダム抽出した子供たちに心臓に手術を施し、
スイッチを持たせ、そのスイッチを押すとあっけなく死ぬ事が出来る
という状況にさせる。その上で施設に軟禁され、どんな心理で
スイッチを押すのかを研究する…という話。
本当に良く思いつくものだわ。

でもいかんせん文章力が…どうにもこうにも(涙)。
コロコロ一人称が入れ換わって、誰の心情だか分からなくなるし、
何故か突然脚本みたいな場面説明になっちゃったりするし、
じっくり描いて欲しい所は駆け足で、無駄な部分が冗長だし、
何ていうか、「ん?ん?」と色々疑問に思ったりして感情が
中断されるので、感動もなにも…。
だからきっと、映像化した方が良いんじゃないかな?と思う。

でも一気に読めたよ。面白いには面白かった。
ラストは「やっぱりね」だったけど(笑)。

カレンダー
04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
Lapin
最新コメント
[09/08 赤目]
[09/08 赤目]
[09/08 かいり*]
[07/12 赤目]
[07/11 ちか]
ブログ内検索
バーコード
最新トラックバック
NINJA TOOLS
Powered by 忍者ブログ & [PR]